コミュニティ天神ラジオ(コミてん)『オーガニックデイズ』
11月18日(木)のオンエアについてお知らせいたします。
~ オーガニックデイズ 第19回放送~
令和3(2021)年11月18日(木)
14時30分〜14時55分 ON AIR!
今回は、映画『もったいないキッチン』プロデューサーの関根健次さんが、
ご多忙の中、奇跡的に出演してくださることになりました!!
関根さんは『人と人をつないで世界の課題解決をする』をミッションに、映画買付、配給、宣伝、制作を行うユナイテッドピープル株式会社の代表取締役でいらっしゃいます。
平和について、映画について、そして平和をコンセプトにしたワイン事業『ユナイテッドピープルワイン』について!をお伺いします。
どうぞ、お楽しみに♪
福岡市中央区及び近郊の方はFM77.7コミュニティラジオ天神(コミてん)で!
インターネットラジオ・サイマルラジオでも同時放送されます。
《ゲスト》
株式会社ユナイテッドピープル
代表取締役 関根健次様
《パーソナリティ》
一般社団法人ジオーガニックデイズ
奥田景子
中田美由紀
《提供》
一般社団法人オーガニック健康推進機構
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福岡オーガニックマルシェは
TENJIN Chrismas Marketに出店中
福岡のクリスマスを
オーガニックで盛り上げます♪
みなさんのお越しをお待ちしています
TENJIN Chrismas Market
日 程:11/15(月)-12/26(日)
時 間:平日17:00 – 22:00/土日祝12:00-22:00
会 場:福岡市役所西側ふれあい広場
(福岡市中央区天神1−8−1)
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映画でつなぐ世界、映画で変える世界
ユナイテッドピープル 代表取締役の関根健次さんにお話を伺いました。
Interviewers:一般社団法人The Organic Days 理事 奥田景子、中田美由紀
―2021年11月18日 コミュニティラジオ天神「オーガニックデイズ」より―
―関根さんは大学の卒業旅行の途中、偶然訪れた紛争地で世界の現実を知り、世界平和の実現が人生のミッションになったそうです。
2002年に世界の課題解決を事業目的とするユナイテッドピープルを創業。2009年より映画事業を、2014年より誰でも社会課題・SDGsをテーマとした映画上映会が開催できる「シネモ」の運営を開始。
映画「もったいないキッチン」ではプロデューサーを務められ、2021年にはピースデイワイン事業「ユナイテッドピープルワイン」を開業されています。
「もったいないキッチン」は、日本中を旅しながら廃棄される食材などを活用して料理をしたり、地元の方々と触れ合ったりする映画だったのですが、なぜそれをテーマになさったのでしょうか。
関根さん;
この映画の監督はオーストラリア人のダーヴィド・グロスなのですが、まず彼がヨーロッパを舞台にして「0円キッチン」という番組シリーズと映画を作ったんですね。もったいないキッチンと同じく、ヨーロッパ中を旅してどうしても捨てられてしまう運命にある野菜なんかを使ってさまざまな地域のシェフとコラボレーションし、まだこんなにおいしく食べられるんだという変化を見せて、楽しみながら食品ロス問題を解決するという内容なんです。ユナイテッドピープルでこの映画を配給することになって監督のダーヴィドに初来日してもらったんですが、日本にもたくさんの食品ロスがある。
ちなみに、世界では生産される食料の3分の1が捨てられていると言われています。日本では約600万トン以上、国民1人の毎日換算にすると、おにぎり1つ分くらいの食べ物を捨てちゃっているので、1日1億個以上の食べられるおにぎりが捨てられているということになる。だからやっぱり何とかしたいと。それでダーヴィドと話して、日本を舞台にした映画も作ろうということになったんです。
日本には古来からすばらしい「もったいない精神」という考え方があります。これに基づいて、日本から発信する「もったいない」を解決をするアイデアをたくさん集めた映画を作ろうと。3年かかりましたが、2020年に完成して公開しました。
―反響はどうでしたか?
関根さん;
まず作る過程で、小学校6年生の女の子が映画制作のための寄付をしてくれたりしたので、とにかく未来の世代のためにいい映画を作ろうと思って作りました。子どもから大人まで、広い世代の方に楽しんで観てもらっていて、こういう考え方、切り口があるんだと、たくさんの良い反応をいただいています。
コロナ禍での公開になりましたが、不ぞろいでどうしても売れない野菜を集めたクッキングパーティーなど、たくさんのパーティーシーンが出てきます。今はできないけれどもかつてはできたワクワクするようなパーティです。このように、食の問題にエンターテイメント性を持たせたのがこの映画の魅力かなと思います。
また、映画とともに「もったいないキッチンパーティー」という家庭で使い切れない食材を持ち寄って一緒に料理をするイベントも呼びかけています。
―楽しそうですね。食べられるものを捨てているというのはすごく悪いイメージがありますが、こうやればいいんだよって、気持ちを盛り上げてくれるようなすばらしさが映画「もったいないキッチン」にはあると感じました。
関根さん;
世の中で当たり前だと思われていることが実はもったいないことだったり、無駄なことだったりって、たくさんあると思うんですよ。
例えば、ペットボトルって便利じゃないですか。のどが乾いたらどこででも冷えたものが買える。コンビニでも自動販売機でも。でもその使い捨てによって大量のエネルギーを使うし、河川に流れて、海に流れて、マイクロプラスチックになる可能性もある。だから僕は必ずマイボトルを持ってペットボトルを買わないという選択をしています。
生活を一つひとつ見直していくと、いろいろな気づきがある。その出発点として「もったいない精神」を思い出すと、無理無駄がなくなっていくんですね。
それから、映画の中の1つのエピソードで、お坊さんが作ってくれた精進料理を目隠しをして食べるというシーンがあります。『なんでしょう?』『ナスですね』。でも実はナスのヘタなんです。種明かしをすると、『ヘタだったんだ!』という驚きがある。
私たちは五感によって、例えば見た目によって、食べられる、食べられないを決めています。ですがそれをなくした瞬間に、視覚的には食べられないという判断をしなくなるんですね。そうすると、案外食べられるということが分かる。
こんな驚きを来年は特に小学生にも届けたいと思って、吹き替え版も作ったんです。俳優の斎藤工さんがやってくださいました。全編90分ほどなのですが、小中学校の授業の中でもみてもらえるように、30分くらいにしました。観た後に先生が『どうだった?』って聞いて、『こうしたいと思う』って子供たちが話して、その日から給食が変わって欲しいなと。子どもたちの給食の食べ残しが減るという状況を作っていきたいですね。
―本当ですね。子供たちが目の前にある食べものについて考えられる映画ですよね。
先ほどキーワードとして「当たり前」ということをおっしゃいましたが、「ミッドナイトトラベラー」という映画でも、それを感じました。
私たちは毎日当たり前に平和に暮らしていて、日常に戦争はありませんが、テレビなどを通して戦争の情報が入ってきます。「ミッドナイトトラベラー」の宣伝を見たときに、何だかとても迫るものがありました。この映画についても教えていただけますでしょうか。
関根さん;
日本で暮らしていると、難民問題に触れることはほぼないと思うんです。一方、ヨーロッパや中東、アジアは陸続きなので、難民問題は非常に身近なわけです。現在進行中の大きな問題としてはやはりアフガニスタンがあって、2021年8月以降は非常な混乱が続いています。
「ミッドナイトトラベラー」は少し遡って2015年、アフガニスタン人のある監督が家族ごとタリバンに殺されかけて、ヨーロッパまで5600キロを逃げていく様子を撮影した映画です。本当に命がけの旅だったのですが、自分たちの姿を多くの人に伝えたいと、スマートフォン3台だけで撮られています。世界的にも高く評価された、真実のドキュメンタリーです。このように難民自身が内側から作った映画というのは、これまでほとんど例がありません。
監督は今家族と一緒にドイツで暮らしていますが、「私たちもあなたたちと何も変わらない人間なんだ。普通の家族なんだ。でもたまたま政治的な状況が発生すると、そこに住みたくても住めなくなってしまう。故郷で生きられなくなってしまう。だから難民になった。こういった難民という存在を、とにかく伝えたかった」と話しています。
今、世界の難民の数って100人に1人と本当に多いんですよ。厳密には国内避難民、国外避難民とがあるんですが、両方含めて。アフガニスタンやイラクでは国内にいても難民化してしまっている、自分の家から離れて暮らさなければならなくなっている人たちがいるんです。
こういったなかなかニュースにはならない問題を、映画というメディアで、さまざま場所で皆さんに上映の担い手になってもらいながら知ってもらう。そしてこの映画を観た人たちが共感し、何かしたいと思って、難民支援のための寄付をしていく。難民を助ける会、リアルズ、国連UNHCR協会など、寄付金を受け取って活動している団体はいくつもあります。さまざまな団体が一生懸命に動いているので、私たちの気持ちを託すことができるんです。
映画って、感動を与えることができる。人は感動すると、こうしたい、変えなければならない、と思いますよね。それで夢を見つける人も出てくる。会社やNGOを作ったり、プロジェクトを立ち上げたり、いろんな効果が生まれます。
これまでユナイテッドピープルでは50本くらいの映画をお届けしてきましたが、もう一つご紹介したいのは「プラスチックの海」という映画です。先ほども話をしましたが、ペットボトルは安くて便利で丈夫で、これまでは優等生だったのですが、使い捨てが問題なんです。
使い捨ての文化が大量生産・大量消費・大量廃棄を産み、自然環境を汚してしまった。気候変動の原因にもなっていますし、海洋生物の健康を害することにもつながっています。この映画も小中学校の授業で上映できるように吹き替え版を作りました。
「もったいないキッチン」も「プラスチックの海」も人気が高まっていまして、昨年11月には福岡でも福岡市と古賀市で上映会を実施しました。映画を観た人は問題解決の担い手になれるんです。問題を皆さんにシェアすれば、ディスカッションが生まれたり、何とかしようとビーチクリーニングをしたり、映画を観た高校生が将来は会社を作って問題解決のための事業を起こすかもしれない。
―福岡オーガニックマルシェもビーチクリーンに参加しています。目に見えるプラスチックだとゴミ拾いという感覚があるのですが、小さくなって風にフワフワと舞うようなプラスチックは拾っても拾っても終わりが見えません。
拾いながら、「拾うだけではなくて、何をしたらいいのか、何ができるのか」と考えると、ゴミを出さないように、プラスチックのものを作らないように、使わないようにしていけばいいんだと思ったんです。
関根さん;
最前線でやってみると、見えてくる世界がありますよね。そうやって一つひとつ行動を重ねていくことが、何かにつながっていきます。
―映画も、上映を行えるように提供されています。
「シネモ」という誰でも上映できるシステムを作っていますので、さまざまな形の上映スタイルが可能です。ビーチや屋上で自然を感じながら上映会をされる方もいますし、学校や企業の会議室、カフェなどでも実施されています。音楽ライブや食事会を一緒にされる方もいますよ。
―身近で映画が観られるというのはとてもいいですね。福岡オーガニックマルシェでもぜひ開催したいです。
関根さん;
そうだ、ワインも始めたんですよ。
―映画を作られたときもびっくりしましたが、今度はワインですね。5年後にはワイナリーをもつのだとか。いつも驚かせられます。関根さんの中ではつながっているのでしょうか?
関根さん;
目的を達成するためのアプローチとしてはそうですね。ただワインに関してはもともと夢だったんですよ。極めて個人的な趣味の延長線上で、いつかはワイナリーをやりたいと思っていた。20年以上前の夢だったんですが、最近思い出したんです。ワインも平和のために使えるんだって。ワインを作るプロセスには大変多くの人たちが関わるので、例えばブドウを摘むにしても、世界中の人たちと一緒に作業をすれば友情関係が育まれる。
特に、紛争地でワイナリーをやりたくて。その場所では対立している両者が、ワイナリーでは一緒に共同作業しながら、良いワインを作るという一つの目的で友達になる。そこで醸造されたワインを日本に持ってきて飲んでもらえば、そのワイナリーを応援したいという人が出てきて、平和がどんどん広がっていく。
これが5年後の夢なんですが、それに向けてレバノンを訪れました。レバノンにはレバノン人とシリア難民が一緒に運営しているワイナリーがあって、そこにパレスチナ人の女性の醸造家も参加しています。3カ国、3つの異なる宗教の人たちが一緒にやっているところに日本人も入って盛り上げていこうと。シリア人の難民たちは、いつかはシリアに戻ってワイナリーをやりたいと言っているんです。そんな夢も応援したいなと考えています。
―最初から支援には熱心だった印象があります。一貫されていますね。
関根さん;
自分だけの人生ではなくて、誰かを支えることができるのであれば続けたいと思っています。
一人でご飯を食べてもおいしくないですよね。みんなとワイワイ食べたい。しかもいろんな料理やお酒が出てきて、『それはどういう料理?』とか聞きながら。そんな世界って豊かだと思うんです。国境を超えた、パスポートのいらない、一緒にしあわせになれる世界というか。パスポートを持てない人もたくさんいるんですよね。いつか自由に行き来して交流できる世界を夢見ています。
―日本人の役割としてとても向いているのかもしれないですね。日本人ってパスポート有効率が世界一だから、どこにでも行ける。
関根さん;
コロナでなかなか難しいですが、ぜひ果敢に交流して欲しい。
―若い方にも積極的に海外に出て行ってもらいたいですね。
関根さん;
ワイナリーができたらボランティアツアーをやりたいと思っています。ワインの勉強もできて、農業体験や異文化交流もできますから。学校みたいな感じでしょうか。いつか学校もやるかも。
―ぜひやっていただきたいです。
今は福岡の糸島に住まれていますが、どうですか?
関根さん;
60カ国以上行っていますので、コスタリカの海とか最高ですよ。でも糸島は総合力が高いです。食文化にしても安全面にしても。自分が生まれた国でもありますし、大好きです。糸島は特別です。
―糸島をベースに世界を飛び回って、またいろんなものを持ち帰ってきていただきたいです。
関根さん;
そうですね。福岡から世界へをテーマにやっていますので「もったいないキッチン」も福岡からスタートして、韓国、香港、マカオへと展開が始まっています。
映画からはたくさんの学びが得られます。社会人にとって、大人の教科書のようなものだと思います。刺激的だし、世界が広がる。ワクワクして、行ってみたい気持ちになるかもしれない。ドキュメンタリーなので、生身の、そこで生きている人たちのドラマがあります。ギリシャやブラジルの映画もあって、ギリシャの「ハッピーリトルアイランド」なんか、豊かな食文化でいいんですよ。
世界を旅するように、映画を楽しんで欲しいです。
―関根さんのお話を聞いて、刺激を受けられた方がきっとたくさんいらっしゃると思います。今後のご活躍も楽しみにしています。
終わり